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Home > 最新レポート & ブログ > 不動産から建築へのヒミツの入口

不動産から建築へのヒミツの入口

2011/09/27家は自分でつくる方が安いに決まっている!

食べる、着るといった行為は、いかに貧しくてもその行為そのものをやめてしまうことはできないものです。
ここ数年日本では、消費者が着るものや食べるものをより安く求める傾向は顕著になってきました。
これらの産業ではファストフードやファストファッションと呼ばれるカテゴリも生まれ、熾烈な価格競争を繰り広げています。

家に居住するという行為も、衣食と同様にやめることはできないと思われます。
他の消費と同様に、賃貸住宅の業界にはシェアハウスなどの低価格な居住手段も登場してきました。今後はより低価格をウリに新築住宅を販売しようとする企業も増えることでしょう。

しかし最も安く家をつくる方法は、自分でつくることです。同じ時期に、日本の同じ場所で、同じ建物を建てるとしたら、誰かがつくったものを購入するよりも、自分でつくった方が安いに決まっているのです。ここでいう家の値段とは土地代金や借地料などを含まない、純粋に建築物を取得するコストだけを指すものとします。

大量に部材を発注するハウスメーカーや不動産業者は割安につくることができるのだから個人で建てるよりも買った方が安い、という主張もあるかも知れませんが、私の経験では一般的な住宅の単位ではそれほどの差はありません。
むしろ大量発注で割安につくられる住宅部材には、一般市場に流通するものよりも仕様や品質自体が劣っていて低価格のものが多いようにも感じます。安かろう悪かろうということです。
そのうえ、仮に幾分か割安につくることができたとして、その利益を享受しているのはハウスメーカーや不動産業者であり、一般の消費者の住宅取得価格がそれによって安くなることはまずありません。

「坪単価35万円の家」などの法外な安さを謳った広告宣伝を見かけますが、この手の企業の多くはおよそ人が選択しないような「標準仕様」を設定していて、それ以外のすべては追加費用をともなうオプション工事です。
もし宣伝どおりの坪単価35万円の家を建てて住んでらっしゃる方がいたら、見学してオーナーの満足度を聞きたいものです。
業界大手の有名ハウスメーカーですら、100%と言っていいほど一番最初に提示した見積書どおりの金額で竣工する案件はないはずです。
竣工時に実際にかかったコストを確認してみれば、規格品だらけのありきあたりな居住空間をつくるために、注文住宅と同等あるいはさらに割高な費用がかかったことが判るでしょう。
しかしその時にはゼロからやり直す訳にはいきませんので「大手なら将来のアフターメンテナンスもしっかりしてるはずだし..みんなやってることだし..」と自分を納得させることになります。

考えてみれば当たり前のことですが、誰かがつくったものを買う時には、つくった人の利益を確保した値段になるのは当然です。また、つくる人はできる限り安くつくって、市場で合理的に売れる最も高い値段で売る努力をするのも当然です。

建築物を手に入れるなら「自分でつくる」が最も安い。これは疑う余地がありません。

ところが土地代金や借地料を含めて家の値段と考えると事情が変わってきます。
実は家を安く手に入れられるかどうかは、むしろ建物を建てる敷地をどのように手に入れるかにかかっているのです。
今後のブログではそのあたりのことを少しずつ書いていきたいと思います。

2011/02/13駅前業者を知ってますか?(最終回)

駅前業者は古くから地元駅前のできるだけ目立つ場所に店舗を構え、沿線の数駅先まで程度のエリアの不動産を扱っています。物件のほとんどが賃貸物件で、アパートやマンション、月極駐車場などが中心です。
前回までのブログで分かるように、このビジネスモデルは、いかに地元の大家さんに多くの賃貸業務を依頼され、末永く信頼されるかにかかっています。
入居者を1日でも早く決めて大家さんとの良好な関係を築いておきたい。
それが駅前業者の本音です。

入れ替わり立ち替わり来店する、借りるか借りないか分からない入居希望者。
客付の立場ならそそくさとどこかに入居させたいけど、それぞれの1人1人とは入居したらお付き合いはそれきり。
とても入居希望者の満足度を最優先に考えて行動しているようには見えない業者が多い背景にはこんなビジネスの仕組みがあるのです。

部屋探しをする私たちにとっても、一度入居したら不動産屋さんの顔を見なくて済むから、仮にサービスに満足できなくても、徹底的に抗議したりすることもなくやり過ごしてしまう。
「何となく嫌な思いをしたな。不動産って胡散臭い」という記憶だけがただ残り、これが日本での不動産のイメージに直結している気すらしてきます。

慣れない土地で右も左も分からない学生の時、これから始まる戦いに期待や不安が入り混じる新社会人の時。そんな時に一度きりの付き合いにもかかわらず、親身になって部屋探しをしてくれた不動産屋さんがいたら、逆に一生の思い出になると思いますけどね・・。

不動産から建築へのヒミツの入り口。「駅前業者を知ってますか?」のテーマはここまで。
次は賃貸ではなく、いよいよ売買の世界に行ってみたいと思います。

2011/02/13駅前業者を知ってますか?(3)

これまでは賃貸にかかる客付業者の報酬について書きました。
それでは元付業者の報酬体系はどうなっているのでしょうか。

多くの場合、元付業者は入居者が決まったら「広告掲載料」という名目で、大家さんから「賃料の1ヵ月分」をもらう取り決めをしています。

この「広告掲載料」という名目には何だか取ってつけたような響きが感じられます。
実は宅地建物取引業法上、不動産業者が一度の取引で受け取ることができる媒介報酬は賃料の1月分が上限です。
つまり「客付100%※前回のブログ記事参照」で客付が入居者から賃料の1ヶ月分の手数料を受け取ったら、元付は業法上、1円も媒介報酬をもらえないわけです。
そこで登場するのが「広告掲載料」です。
入居者を誰が見つけても、元付業者に一定の報酬が入るように別名目で請求するわけです。


しかし元付の報酬が大家さんとの取り決めで「賃料の半月分」となっていたり、元付が別に管理報酬をもらっていたりして、入居者が決まっても賃料1ヶ月分の報酬を受け取れない場合があります。
この場合、元付も「75%・50%」などで客付に情報を公開します。
この結果、前回のブログで書いたように、客付業者は報酬割合が少ない物件よりも報酬割合の高い物件を意図的にお客さんに薦める可能性が生まれるのです。

一方、客付の手を借りなくても、元付が自分で入居者を探せる場合、つまり営業力によほど自信がある(あまり見かけないですが・・)か、物件の人気度に自信があるかのどちらかの場合、他の不動産業者に情報を公開しません。
自社に来店したお客さんや、一般の賃貸情報誌、インターネットの賃貸住宅サイトなどで入居者を探します。
入居者から受け取れる仲介手数料+大家さんから支払われる広告掲載料の両方が元付の報酬となり、元付としては理想の形です。しかしこの場合でも実際には、早く入居者が決まらなければ、大家さんが他の業者に募集を依頼するかも知れないという競争原理に晒されています。

次回はいよいよテーマ「駅前業者を知ってますか?」の最終回!


2011/02/06駅前業者を知ってますか?(2)

賃貸不動産の仲介業者はどういう報酬体系で利益を得ているのか。

アパートやマンションの大家さんは、不動産業者に依頼して入居者を探してもらいます。大家さんから直接、依頼された業者を元付(もとづけ)といいます。元付業者は、自社に来店するお客さんや、賃貸情報誌、インターネットの賃貸住宅サイトだけで自力で入居者を見つけられない場合、他の不動産業者も入居者を探すことができる状況にして、入居者を募ります。この時の「入居者を見つける他の不動産業者」を客付(きゃくづけ)といいます。

部屋を探す際に不動産屋さんを回ると違う業者なのに同じ物件を紹介されることがあるのは、このような背景があるからです。

大家さん
 ↓
元付業者
 ↓
客付業者
  ↓
入居者

客付業者が入居者を見つけた場合の報酬額はさまざまで、物件ごとに元付業者が定めています。
例えば「賃料10万円・手数料は賃料の1ヶ月分」という物件の場合、客付業者の報酬額は
100%→「10万円×消費税」
75%→「7万5千円×消費税」
50%→「5万円×消費税」
などと元付業者によって決められています。
客付業者からすれば、少しでも報酬割合の高い物件を勧めようとする心理が働きます。
また客付業者は1人の入居者を決めることで最大賃料の1ヶ月分の報酬しか受け取ることができないので、来店したお客さんをやすやすと取り逃がしたくありません。第一希望の物件が埋まっていても、報酬割合が高い他の物件をどんどん薦めてきます。

悪質なケースではインターネットや情報誌に、実在しない部屋や契約済み物件を載せて、最初の連絡を誘導し、別の物件を薦めていることもあります。

部屋探しをしている皆さんは、「物件が空いているか確認して折り返し連絡します。」などと連絡先を聞かれ、希望と違う物件をどんどん薦めてこられるわけです。

もちろん駅前業者のすべてがそうだとは言いませんが、多い感じがします。

一方元付業者の報酬体系はどうなっているのでしょうか。

駅前業者のなぞをひも解く元付の報酬は次回に....。

2011/02/06駅前業者を知ってますか?(1)

ひと口に不動産業者と言っても実はいろいろな種類があります。

皆さんの誰もが目にしたり、実際に接したりした経験があるのは、駅前にある、ガラス一面が賃貸物件のビラで埋め尽くされた不動産屋さんでしょう。不動産業界では「駅前業者」と呼ばれたりします。手始めにこの身近な駅前業者について解体してみましょう。

学生時代や社会人になりたての頃、部屋探しで駅前業者を利用して「不動産屋さんが苦手」と感じた人は、実は相当な数に上るのではないでしょうか。
横柄な態度で、身元を詮索された、希望と違う物件を押してくる、一度接触したらしつこく電話される、同居者との関係を訝しがられた、すぐに申し込めと言われたなど、いろんな思い出があるでしょう。私自身にも経験があります。
もちろん駅前業者のすべてがそうだとは言いませんが、多いと思います。

顧客に提供するサービスの満足度がビジネスの成否を分ける今日、あの態度でやっていけるのか。駅前業者の多くが入居希望者を最も大切な顧客と考えていたら、そんなことにはならないはず。そんな疑問も湧いてきます。

では彼らにとって一番大切な顧客は誰か。
彼らはどういう報酬体系で利益を得ているのか。
そこにヒミツは隠されています。

駅前業者の舞台裏を知る、賃貸物件の報酬体系は次回....。

2011/01/24なぜ不動産を知る必要があるのか

大学で建築を学んだ私が、不動産ディベロッパーに就職し、コーポラティブハウス専業の会社に転職し、今のスタイルで独立するキャリアを選んだ経緯には、明確な理由があります。

シンプルに言えば、大学の授業で習うような建築は、現実には身の周りにほとんど見当たらなかったからです。建築をつくること自体は、それほど難しいことではないはずなのに、つくる人の思いや、デザイン的な好みを反映した建築は、それを探して旅に出なければいけないほど少ない。一部の巨大なプロジェクトを除けば、学校や役所などの公共建築ですら、どこにあっても同じような紋切り型の建物です。圧倒的な数でどんどん増えていくのは不動産ディベロッパーがつくるマンションやビル、ハウスメーカーや建売業者がつくる一戸建て。


―なぜ彼ら業者にできることを一般の人はできないのか? それを解明するには、まず不動産・建設業界の仕組みや利害関係、お金の流れを知る必要がありそうだ。- 

そんな単純な発想に始まって、10年以上もの間、業界に身をおいてきました。
その間につくったものは、住宅だけでも1,000戸近く、土地の売買取引だけでも100億円を超える金額になります。幸いにして、知りたかったことはよく分かりました。

一方、みなさんの多くは、一生に一度家を買うことがあるかどうか、という状況です。
普通は、いくつもの不動産を売買したり、いくつも建物を建てたりして、業界の内情に精通する機会には恵まれません。
働いてお金を貯めて、家族も増えて、何となくほかの人がやっているのと同じような方法で家を買う。それが普通だからと。

実はこの状況は、業界にとって非常に都合がいい。細かい裏事情を明かさずに「不動産や建築ってこういうものなのです。」と思わせることができるからです。

業界もそれほど悪意に満ちた人たちばかりでもないので、あまり書くと怒られることもあるかも知れませんが、誰でもほんとうの建築を楽しくつくることができるようになるために、自分自身がこれまでに不動産・建設業界について知ったことを、分かりやすく、かつオープンに書いていきたいと思います。

2011/01/23不動産から建築へのヒミツの入口

3週間ほどツイッターをさわってみたところ、何となく自分なりにそのメディアの雰囲気が分かってきたような気もします。不思議なことに140字の制限の中で書くことを繰り返すと、一方でこのブログのような媒体の役割も際立って感じられました。

このブログでは、日常の他愛もないことや建築のこと、お客様の声、プロジェクトのリポートなどを書いてきました。
今後はこれらの情報に加えて、不動産や建築をテーマに、世の中でブラックボックスに包まれてきたことや、誰もが「ここがヘンだ」と思うことを解き明かす、「不動産から建築への秘密の入口」というカテゴリを作って書いてみます。
このカテゴリを読めば、怪しそうで、騙されそうで、怖そうな不動産の世界の内情が明るみになり、誰でも本当の建築を楽しんでつくることができる手引きになることを目指して。

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